「そりゃぁ 天然海水が良いに決まっている。 だって そこに住んでいたのだから・・・・。」
と 思いがちだが・・・・・ そうとも いえない点がいくつかある。
忘れてはいけないのは、われわれが その 海洋生物たちを 水槽で飼っていると 言う点だ。この閉鎖的な空間 水槽である。
水槽では 台風はない 大雨もない クジラや マグロも通過しない。 ぎらぎらの太陽光線もない。豊富なプランクトンもない。大量の海藻も繁茂していない。
大海原では 時には 台風が びゅんびゅんふいて 炎天下の日差しの下を マグロが イワシを追いかけて回遊している。大量の海藻の間に これまた大量にいるプランクトンを 餌にする タツノオトシゴや ヨウジウオたち。
こんな条件下で 天然海水は育まれ これまた 皆(魚やサンゴ達)の命を支えているのである。このエネルギッシュな 天然海水が 閉鎖的な水槽にはいると どうなるだろうか? 大海原同等の結果が出ない事は 皆さんもご理解いただけるだろう。
さて、具体的成分として 人工海水と 天然海水は どう違うのだろうか?見てみよう。
天然海水には 塩化ナトリウムや カルシウム マグネシウムを筆頭に 現在 約92種類の成分が含まれている事が 一般的に公表されている。 それでも、まだ、100パーセントではなく わかっていない成分もある。
人工海水は それらを再現するために 各メーカ- が 独自に作り上げている商品である。
それに対して 天然海水には それ以外の物が豊富に含まれている。つまり 海水の成分ではないもの・・・・。
例えば・・・・魚が海藻を食いちらかした後 海藻がちぎれて 流出している海藻の汁。 魚の表面から代謝として出ている ヌメリ。 糞 や おしっこ。 枯れた海藻や 魚の死骸から出る物質。
いわゆる 鉱物ではなく 生物由来の物質である。 これらが 閉鎖的環境に入ると・・・・・
苔が発生する。
また いくら (殺菌した天然海水)と 唄っていても 雑菌が増えやすい素材(生物由来の物質)が沢山揃っているのが天然海水なのである。
人工海水の場合 海水の組成成分のみで作られているため、腐らない。皆さんご存知 粗塩で 漬物を作るよね。 塩は むしろ 腐敗防止にもなるわけだ。
では 天然海水の良い所はどこだろう?それは 言うまでもない すべての微量元素がふくまれている事だ。
実は 人工海水には すべての微量元素は入っていない。通常は 50~70種類の微量元素によりつくられている商品が多い。しかし あるメーカーでは 35種類程度しか入っていない人工海水も販売されている。
無脊椎飼育には イマイチであるが 魚を飼育するのは 全く問題はない。低価格だし 人気のある人工海水だ。
人工海水 と 天然海水 どちらがいいか? という問いに対して、くまぱぱの結論。
何を中心に飼育するのかによる。
サンゴやソフトコーラルを中心に飼育するなら 天然海水の方がいいだろう。なぜなら、豊富な微量元素はサンゴを活性化させるだろうし、また サンゴやソフトコーラルはあまり 病気にならないから 雑菌についても問題がない。
魚を中心に飼育するのであれば やはり 人工海水であろう。余計な成分の混入がない、クリーンな海水で 海水交換できることだ。
ところで 天然海水とは別に 海洋深層水っあるよね 知ってる? よね もちろん。 次回は
海洋深層水とは 深い場所から くみ上げた海水・・の事 深いだけに 深くまで 探ってみよう。